クラっと来るような暑さの今日この頃。 日が沈んだ某夜、久しぶりにこの映画ソフトを引っ張り出して鑑賞。
『プリシラ PRISCILLA』(1994年 ステファン・エリオット監督)です。
公開時に劇場に観に行って以来、大好きで何度か観返している作品です。この映画も、派手な衣裳とメークに、そしてオーストラリアの雄大な景観と突き抜けるような青空に“クラっと来る”のであります。
story
大都会のクラブでステージに立つ女装のショーガール、ミッチ(ヒューゴ・ウィーヴィング)はオーストラリア中部アリス・スプリングスでの興業に、性転換者で仲間のバーナデッド(テレンス・スタンプ)を誘った。そこに明るいけれど無鉄砲なフェリシア(ガイ・ピアース)が加わり、ドラッグクイーン3人の砂漠へ向けての旅が始まった・・・。 様々な出会い、別れ、挫折、そして歌あり踊りあり笑いありのロード・ムービー。

※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。
オープニングからクラリと来る映像ながら、そこはかとなく切なさが漂う幕開けです。
シャーリーンの「I've Never Been To Me」の歌詞が彼らの心の叫びのようで。
ショービジネスにはどことなく哀しみの翳が付いて回るような気がするのですが、ドラッグクイーンたちの世界となると尚更なのでしょうか。
旅をする三人、ミッチ、バーナデッド、フェリシア、それぞれ派手な衣裳を脱ぎ鬘を外しメイクを落とした時に見せる素顔(心身共の素顔)が、孤独と弱さと、甘えと拒絶の同居を感じさせて切ないです。
ロード・ムービーよろしく彷徨い続ける彼らの心。
彼らのセクシャリティーを受け入れられない人々の偏見や罵倒、暴力は、前を向いて歩いて行こうとする彼らの心を容赦なく折れさせます。それでも、良くも悪くも旅の先々で出会う人や出来事が、やっぱり自分に正直に生きたいという思いにさせ、三人をそれぞれに違った決意に導いてくれるのです。
ロード・ムービー、イイですね、私はやっぱり好きです。
幾つになっても、どんな状況にあっても、迷いは必ずある。
バーナデッドが放つ「男が女になるのはラクじゃないのよ」っていう台詞がありますが、これって「男」と「女」を別の言葉に置き換えたら誰にだって当てはまることですよね。自分らしく生きてゆくのはラクじゃないのだ、きっと。

オープニングの曲に触れましたが、この映画、音楽がサイコーに楽しめる作品です。
そういえば公開時には迷わずサントラを買いました。(このレヴューを綴りながら聴き直しましたよ。)
大自然の中、青空を背景に流れる歌曲「椿姫」にはシュールな感覚に包まれ見知らぬ彼の地へトリップするかのよう。アバの「ママ・ミア」には拍手喝采、エンディングで流れるヴァネッサ・ウィリアムスの「Save The Best For Last」にはぐぐっと心掴まれます。
圧巻は、ショーの衣裳に身を包んだ彼らが、辿り着いた夢の地・キングス渓谷(オーストラリアのグランド・キャニオンと呼ばれている)の頂上で屹然と立つシーンです。
雄大な自然の圧倒的な力を前に、自分たちが最も誇れる姿で立ち向かう彼ら。自分が男であるか女であるかなどという概念すら吹っ飛んでしまった瞬間だったのではないでしょうか。陽光に赤く燃える渓谷に、彼らの華やかな装束を舞わせる雄々しき風、風、風。感動的です。何度観てもここは見とれてしまうシーンです。
脇を固めるボブ役のビル・ハンター、マリオン役のサラ・チャドウィックも素敵。
特にボブ。バーナデットとの穏やかで確かな温もりの日々を祈りたいです。
あ、最後の最後、オマケの映像が笑えますよ。

この映画の「ドラッグクイーン」のドラッグは「drag (俗に、男性の女装の意)」ですが、似た発音で「drug(薬物)」というのがありますね。「drag」や「drug」では無理ですが、「drunk(酔っ払い)」なら私もクイーン級になれるでしょうか・・・。
そんな私の、またしても“独りサク呑み”(某日某店にて)です。
生ビールのあとに純米吟醸<夢灯り>とマグロのヤマかけです。 大変美味しゅうございました。
滞在時間45分。これってクイーン級を目指す以前にオヤジ級ですね。
本作、『スーパーマン(1、2)』での悪役演技(ゾッド将軍役)以来、久々にテレンス・スタンプさんを、意識的に観る事のかなった作品でした。
ガイ・ピアースにせよ、ヒューゴ・ウィービングにせよ「転機」となった作品なんでしたかね・・?
またいつか、観直さなければ!
TiM3さん、おはようございます。
テレンス・スタンプさんといえば、最新作品の『アンコール!!』が観たかった私です。
あと、パッと思い浮かぶのが『イギリスから来た男』でしょうか。
そうですか、、、ゾッド将軍ですか、、、「1」をもう一回観てみたいです。
>ガイ・ピアースにせよ、ヒューゴ・ウィービングにせよ「転機」となった作品
そうなのですか?
確かに異質な役柄ではありますが・・・そういうことではなくて?? その辺り、ちょっとネットで調べてみますね。(*^_^*)
是非、お時間作って観返してみてくださいね。(*^_^*)