2013年08月20日

マリー・アントワネット物語展


  お盆のお休みも終わりましたが、朝夕の風に遠くに見え隠れする秋の気配が僅かに感じられるくらいで、日中の暑さはまだまだ厳しいですね。

お休み中も劇場での映画鑑賞は叶わなかったのですが、県美(兵庫県立美術館)に『マリー・アントワネット物語展』を観に行ってきました。
7月6日から開催でずっと気になりつつ足を運べないままでしたが、閉催(9月1日)間近になってやっと。県美はJR灘駅から南へ徒歩10分強といったところにあるのですが、今年のこの時期、照りつける太陽のもと目指す美術館に辿り着くまでに軽く眩暈3回。


                       マリー.jpg

 マリー・アントワネット。
我々「ベルばら世代」にとっては単なる「歴史上の著名人」にとどまらぬ、華々しいオーラをまとった女性です。同時に、人生の光と闇、頂点とどん底を瞬時に駆け抜けたような悲劇のヒロインとしての象徴的存在でもあります。
読みましたねぇ、池田理代子さんの『ベルサイユのばら』。
本展、いたるところに展示作品に付随しての解説が施されていましたが、何だかどれも<ベルばら>の“要点を振り返る復習”のように感じられました。「ああ、そういえば<ベルばら>にこんなこと描かれていたっけな」という具合に。池田理代子さんの『ベルサイユのばら』の威力を改めて実感しました、畏るべし、ベルばら。

本展はマリー・アントワネットの波乱に満ちた生涯を辿りつつ、彼女の徹底した“美へのこだわり”に焦点を当てたものです。
解説にも「自分の趣味をヴェルサイユ宮殿に持ち込んだ唯一の王妃と言われている」と記されていました。
ひとブースのみ「写真撮影OK」とされる展示ブースがあって、彼女の愛したとされるドレスや香水入れなどの小物、船の模型を乗っけた派手な鬘(ありましたね〜漫画にも)などが展示されていました(このブースの展示品は全てレプリカです)。

 マリー 2.jpg マリー 3.jpg


別のブースですが、あの「首飾り事件」の首飾りも展示されていました(これもレプリカです)。
渦中の人物たちの相関関係図と共に。こういうのは何だか現代の週刊紙的。やはり良くも悪くもゴシップの対象となった人なのですね。王室の人間であるのに、容赦なく通俗的で興味本位な視線を浴びせられてしまう、、、そこが、仕来たりの違う他国から幼くして嫁いだ女性の悲しい一面だったのでしょう。

彼女が愛したとされる品々は、どれも当時の技術、集め得た素材では最高のものであったと推察されます。ドレス、装飾品は勿論、什器や寝具、小物に至るまで、自らがオーダーする物はお金や納期にこだわることなく徹底的に最高級のものを求めたというマリー・アントワネット。
やはり大事な“何か”が見えていなかったのでしょうか。王妃ではなくどこかの大富豪の商家に嫁いだ女性だったなら、あのような最期を迎えることにはならなかったでしょう。

                      マリー 1.jpg

勿論「時」の不運があったことは否めません。
夫ルイ16世の祖父で先帝であったルイ15世と彼の愛妾デュ・バリー夫人が過去に繰り広げてきた贅沢はアントワネット以上の巨額であったらしく、他国への支援などもあってフランスの財政は逼迫し、嫁いできたアントワネットの若さと寄る辺無さが彼女を全ての矢面に立たせてしまったのでしょう。“悲劇の王妃”と称される所以はそこにあるのかもしれません。
夫となったルイ16世の身体上の理由で、夫婦の契りをもったのは結婚後7年を経過した後だったということです。「寄る辺なさ」と記したのは、そのような史実により感じたことでもあります。これらの史実は展示場にあった「解説」にも記されています。

熱愛では決してなかったけれど、ルイ16世との夫婦としての深い絆が感じられたエピソードや肖像画に心が“しん”となりました。夫を敬愛し、子を生し母となって初めて芽生えたと言われる民衆を愛する心。 しかし時代はそれを掬い取るにはあまりに激動のさなかにあったのですね。

展示は、断頭台へ向かうマリー・アントワネットを描いた一枚の絵で締めくくられていました。



                      篠峯.jpg

 さて、過日の乾杯からの一景。
イニシャル全員Mの会の、4人全員がお酒好きで結構な量を呑みます。(私は末席です)
年齢は上下で4歳差だから皆きっとベルばら世代だ。 今度逢った時の話題になるか・・・な? 





posted by ぺろんぱ at 21:01| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
一度コメントが消えたようでしたので再度トライしております。もし重複してましたら一方を削除してくださいませm(_ _)m

猛暑いえ酷暑の中、お疲れ様でした。
「ベルばら世代」の端くれ(笑)として、私にとっても胸躍る展示です。
レプリカとは言えさぞかし目の保養をなされたことでしょう♪
ただし同時に、時代に翻弄された悲劇にはやはり胸が痛みますよね。
先日「ブーリン家の姉妹」(時代は少し遡りますが)を鑑賞した際にも、女性の生きる術の狭さや王家の傲慢、時代の非情さには、観ていて苦しくなるほどでした。

それにしても、冷えたグラスのナイスショット!
喉が鳴りました♪
夏も残り僅か(を祈ります)。どうぞお体ご自愛くださいね。
Posted by あぶく at 2013年08月21日 16:01
あぶくさん、こんばんは。

先ず初めに・・・。
すみません、少し前に商業コメントが重ねて多数入る事象が重なり、仕方なくコメントの承認制を取り入れさせて頂いたものの、何故か反映されないままでしたので諦めておりましたところ、これまた何故か今になって反映されたようです。

コメント導入制が完了したら直ぐに告知をさせて頂くつもりでしたが、十日以上経っても反映されないままでしたので諦めて放っておいて次第でした。本当に済みません。
どうやらコメント承認制が完了した?模様ですので、あぶくさんのコメは早速アップさせて頂き、承認制のお知らせ文も掲載させて頂くことに致します。
お手数をお掛け致しますが、これからもどうぞ宜しくお願い致しますね。

さてさて本展。
レプリカでも、こういうのを見るとマリー・アントワネットの輪郭が少し実線に近付けたような?気もします。
私もBSでの『ブーリン家の姉妹』を観ました。
女性が「己」を前面にして生きて行くのは容易ではない時代の(今でもそういったところはありますが)、息苦しさみたいなものは確かにありましたね。

あぶくさん、御身体大丈夫ですか?
暑さにはお弱いと貴ブログに記されていましたものね。今年は殊の外厳しい暑さで・・・。
何となく、今年のような酷暑の中では日中の飲酒(特に日本酒の昼酒)は通常以上に身体に負担が残る気がします。

お互い元気に秋を迎えたいですね。
コメントの件、御迷惑をお掛け致しますがこれからも宜しくお願い致します。

Posted by ぺろんぱ at 2013年08月21日 22:12
朝晩に、少しだけ秋らしさを感じるようになってきました。

『マリー・アントワネット展』ではなく『マリー・アントワネット物語展』なのですね。
そこには“物語”があるのですね!
私も気になりつつ、9月頭までの展覧会なので無理やなぁと諦めていました。
いや、本当に暑さに弱くなってしまって。
なので、こちらの記事はとても興味深く拝見しました。
実際、公式サイトで見ただけでは感じられない“何か”が感じられて嬉しいです。

これまで「もし自分がマリー・アントワネットなら…」という妄想を、
彼女と題材とした映画やドラマやドキュメンタリーを見る度にしてきました。

この時点からなら、フランスという国や彼女の立場を変える行動が取れたかも。。。
云々の妄想なのですが、この時代の彼女がそんな超人的な行動をとれるはずもなく。
それでも、そういう妄想をしてしまうのは、何かすごく残念な気がする、
そうさせる魅力をマリー・アントワネットという女性に感じるからなのかもしれません。
Posted by ゆるり at 2013年08月28日 18:07

ゆるりさん、こんばんは。

>これまで「もし自分がマリー・アントワネットなら…」という妄想を、
>そうさせる魅力をマリー・アントワネットという女性に感じるからなのかも

ゆるりさん、ズバリ、そういうところにあると思うのですよね、この女性の魅力は。
気高い王室の人であるのに、何故か身近な存在の人として我々を引き付けて止まない・・・。
私はこの人を題材にした映画もそれほど観ているわけではなく、おそらく情報としては不十分だとは思うのですが、それにしても何かしら語りたくなる女性ではあります。

本展、確かに「物語」という視点で綴られていましたよ。(*^_^*)
しかし物語を紡ぐという点では、展示物は無いにしてもやはり『ベルばら』を超えるものは無いかと・・・^^;。私は本展に行って、またベルばらを読み返したくなりました。(*^_^*)

朝晩、「秋」がちらほら顔を出してますね。
四季の存在を感じるのは、夏から秋へのこの時期が一番強いのかもしれません。


Posted by ぺろんぱ at 2013年08月28日 21:35
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