2013年10月01日

サイド・エフェクト


 『あまちゃん』も終わって時の移ろいがいつも以上に寂しく感じられる今日この頃です。こういうの、友人Cによれば“あまロス”と言うのだそうな。

西宮TOHOシネマズで上映終了間近の『サイド・エフェクト』(スティーブン・ソダーバーグ監督)観てきました。
主演のジュード・ロウをスクリーンで観るのは久しぶりです。ついでにキャサリン・ゼタ=ジョーンズさんも。

しかし時間に余裕のない時に行き慣れない映画館に行くものではありませんね。
先ずはJRが「踏切の遮断棒が折れていた影響により」とかで延着(JRではこの車内アナウンスが頻繁に発生します)、阪急電車に乗り替えてやっと着いた西北で、劇場の入ってる西宮ガーデンズまで「東改札口から直結」となっていたので安心していたら・・・どんだけ長い直結通路やねん!、はるか向こうに見えるガーデンズまでとにかく走って、入ってから更にエスカレーターで5階まで、更にフロアの端から端まで突っ切り、更に・・・。やっと劇場のシートに座ったのは本編の始まる直前でした。

story
   金融マンであった夫マーティン(チャニング・テイタム)が違法株取引で逮捕されたのを機に、以前に患ったうつ病を再発させてしまったエミリー(ルーニー・マーラ)は、交通事故や自殺未遂を引き起こすように。診察にあたる精神科医バンクス(ジュード・ロウ)は、かつて彼女を診ていたシーバート博士(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)に相談。エミリーが抱える症状の詳細を聞き出し、彼女の了承も得て抗鬱剤の新薬アブリクサを投与する。症状が快方に向かっていたある日、マーティンがナイフで刺されるという事件が起き・・・。

                      サイドエフェクト.jpg

                      ※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。


※結末に触れる記述をしております。

  
  スクリーンで久々に見るジュード・ロウは、いい意味で“渋枯れ”していらしてちょっとビックリ。登場シーンもさりげなくて素敵でした。まあ終盤は執念(怨念と言うべきか)にとりつかれて目がイッちゃってましたけど。キャサリンさんはお歳を召された感がお顔に感じられたものの、ある種の凄味も増していたといえるでしょう、ついつい期待値を高めてしまう女優さんです。

本作、「サイドエフェクト」というタイトルとヒロイン・エミリーの可憐さにまんまと騙されました。
「何かがおかしい」と思うものの一向に糸が解れていかないのは、前半は完全にエミリーの描き方が被害者としてプロテクトされていたからだと思います。
演じるルーニー・マーラは線の細い透明感のある美しさで、不安定な心の現れ方や挙動の不可解さが実に痛々しく感じられてしまうのです。その点シーバート博士(演じるはキャサリンさん)は登場の仕方が華々しい分ダーティーなイメージがつきまとい、彼女が絡んだ、そして製薬会社が暗躍する一大サスペンスかと思いきや・・・。

徐々に不穏な空気を感じさせてゆくソダーバーグ監督の演出はうまいなぁーって。か弱くて悲劇の女性であるはずのエミリーが時々なぜか不気味に見え始めてくるところも。
事件の渦中で散々な目にあってゆくバンクス(演じるはジュード)。エミリーの立ち位置はバンクスのそれとは重ならないまでも、あくまでバンクス寄りだと信じていましたが、終盤に近づくあたりから立ち位置が大きく変わる・・・そこのところの逆転劇は面白いですね。

                      サイドエフェクト2.jpg

しかし“背景にあったもの”が明らかになってみると、私的にはサスペンス性を削がれた感がありました。
どんな犯罪も「動機」が全てを物語るものだと思うので、その動機自体が甘く感じられたのは正直なところです。憎しみといえるほどの感情はマーティンとの夫婦間では見えず仕舞いで、エミリーとあの女性との愛もどこまで本気なのか疑問で、お金は「やっぱりソレなのか…」と食傷気味に思うものの、それならそれでもっと貪欲にそこに執着してくれた方がスッキリするように思えました。女性同士の愛欲を描くのも難しいと思いますね(男性同士の関係よりも)。それは私が女性だからでしょうか、どうしても「偽り」の色が見えてしまうからかもしれません。総じて、この動機付けが説得力に欠けていたように感じられてしまいました、それでちょっと失速。

悪いことをすれば報いを受ける。
これを立証するかのようなラストは納得できますが、「一時不再理」の法律が無ければバンクスはエミリーもシーバートと同様に法廷の場に引っ張り出していたのでしょうか。それともエミリーにはやっぱりあの方法で?? バンクスの報復が静かな戦慄を感じさせ、それが一番怖かったことかも。



     ひょうたんや 雁木.jpg ひょうたんや1.jpg ひょうたんや2.jpg


  この日は猫事情で早帰りせねばならず、「これで直結してると言えるのか」的な直結通路をまたしても小走りで過ぎ、帰路を急ぎました。

行き慣れない映画館に行くのは要注意として、行き慣れない酒場を久々に訪ねるのはなかなか愉しいものです。

先日は14〜15年ぶりに再会の友人M子さんと、こちらも4〜5年ぶりの再訪となった<ひょうたんや>(新梅田食道街)さんへ。
事情があって一時間しか時間が無く、この立呑み屋さんへ向かいました。ここは立呑み屋さんの概念を覆すような高クオリティーで名を馳せているようで、この日も地酒に合うものをお任せで二品用意してもらいましたが(鮮魚のカルパッチョと鴨のロースト)、どちらもとっても美味しかったです。
地酒は、私は雁木(がんぎ)の無濾過生原酒をチョイス。お酒もたいへん美味しゅうございました。
M子さん(F子さんと書いた方がいいのかな)、またお会いしましょう。かわいい








posted by ぺろんぱ at 21:19| Comment(10) | TrackBack(1) | 日記
この記事へのコメント
>これで直結してると言えるのか

ハハハ、いや笑ったら失礼なんですけど、
あせってはるぺろんぱさんの様子を想像して
笑ってしまいました。
もし西北のTOHOシネマズに行く機会がある時は、
この事情を考慮して、行く事にしますね。

「ちょっと失速」とありますが、ぺろんぱさんのように
エミリーに騙された(?)のはちょっと羨ましい気がします。
私は始まりからエミリーが怪しいという先入観があったので
意外性がなさすぎて楽しみが半減してしまったかも。

というのも、この夏はTOHO系の劇場に足を運ぶ機会が多かったので、
この作品のトレーラーに何度も当たってしまい。。。。
やっぱり事前の知識は少ない方が良いですね。

いずれにしろ、ルーニー・マーラのあの線の細い(を装う)感じ、
わかっていても惑わされました。

ジュード・ロウ、ちょっと枯れてきましたね。
個人的には美形よりも個性的な顔が好きなので、
もっと頭髪も後退してオヤジ味が出ると良いかも〜と期待してます。
Posted by ゆるり at 2013年10月01日 22:57
じぇじぇじぇ〜!(笑)
ぺろんぱさんもあまロスだなんて〜、ちょっと意外〜。
私は最初観そびれていたので、そう入り込むことはなかったですが、、結構友人にもいます(^^*)

JRの車内アナウンスで一番は、「信号トラブル」2番が「踏切内に人が立ち入ったので確認」というもの。平均で7~8分待たされますよ。
本当にどうにかならないものか、デス。

仰るように動機が、、ですよね〜?
コレって、シーバート博士を女性にしたのも目くらまし以外の何物でもない(笑)
身ぐるみはがれそうになってからのジュードが気持ちよかったです♪
Posted by kira at 2013年10月02日 19:56
ゆるりさん、こんばんは。

いえいえ、笑って下さい^^;。 自分でも今思い出して笑っちゃってます。 JRの延着がなければ危機感無いままで遅れてたかも!? 恐るべし、「直結」の文字。^^;

なるほど、ゆるりさんはこの作品の予告編に触れられる機会が多かったのですね。そういえば、フライヤーもエミリーの表情だけは小悪魔的ですもんね、事前に情報を得ていれば分かる事だったのでしょうか。
しかし、それはそれできっと事件を解明する捜査官的な目線で楽しめたのではないでしょうか(*^_^*)。
私も捜査官の目線で?再度観てみたい気がします。

>個人的には美形よりも個性的な顔が好き
>もっと頭髪も後退してオヤジ味が出ると良いかも

同感です!
これからのジュードに大いに期待したいところです。(*^_^*)

PS.私もラストの夫人の(というか、夫妻の)晴れ晴れとした表情が疑問でした。あれだけの事件のあとであの“何も無かった”的な表情が解せませんした。そういう細部の描き方って結構大事ですよね〜。



Posted by ぺろんぱ at 2013年10月02日 21:44

Kiraさん、こんばんは。

じぇじぇじぇ〜!
Kiraさんはあまロスではないのですね〜。私は先月25日放送分の録画は永久保存にしております。(鈴鹿さんが遂に・・・の回です。(*^_^*))

JR,今日も帰路大幅遅れでした。
今日のは「線路で異音を感知した影響により」でした。JR北海道の問題を考えると仕方ないかとも思いますが此処まで日常茶飯事という状態となると・・・ですね。特にJRの場合「線路は続くよ何処までも」ですから影響も増幅するみたいですね。

>女性にしたのも目くらまし以外の何物でもない

おお、なるほど!
そうですよね、ある意味“禁じ手”のような。

終盤のジュードさん、怖いもの無し状態でしたね。あっぱれ。

Posted by ぺろんぱ at 2013年10月02日 21:54
こういうサスペンスものって再見しても結果分かっているからつまらないが普通ですよね。
しか〜し、この作品に限っては何故?どこから?騙しの芝居に綻びは?
これが気になってしまい、もういちど観たいと思っています(笑)

可憐な少女は改めて怖いな〜と思いましたよ(爆)

健康体に強烈な副作用ある薬を服用し続けるエミリー、、、
みんなを騙してた芝居が数年後は芝居でなくなるんだな〜と(遠い目・笑)^^

今思いつきましたが、今回のエミリー役を見るかぎり
できれば、次の役は是非ともヴァンパイア役でお目にかかりたいものです(笑)

Posted by ituka at 2013年10月03日 01:00
“あまロス”の私です。「娘があんなに素直だったら・・・」と現実逃避できた時間が無くなったのは辛い・・・

JR姫新線で暮らしている私には、都会の交通事情は正直よく分かりませんが、大変だったようですね。同時に、日ごろは姫路でしか映画が観れない私には、ぺろんぱさんのブログは広い世界への窓口のようです。

これからも、すてきな記事を期待しています。
Posted by だめたけ at 2013年10月03日 20:02

itukaさん、こんばんは。

私も先述のコメントで書いていますが、捜査官の眼で??観返してみたい気がします。
最初のシーン(駐車場でぶつけるところ)ではシートベルトをチェックしてみたいです。(^^)

>可憐な少女は改めて怖いな〜と

そうですね。
それと『サイコ』ばりのあのキッチンのシーン、怖かったですよね。シアターで私の座席の後方で観ていらした女性が思わず「ひっ!!」と声を漏らしていらしたのが聞こえました。
まあ、ラストの方でマーティン母がエミリーにビンタしたのも自分が叩かれたみたいにリアルに痛そうで怖かったですけどね ^_^;。
あ、そうそう、itukaさんのレヴューではいつも以上に笑わせて頂きましたよ。
(←これセリフではありません)っていうところ。(^o^)/

>数年後は芝居でなくなるんだな

はい。
しかし、案外実は飲んでなかったりして・・・巧く飲んだ振りしてどこかの段階でまた復讐を・・・とか。 こ、こわい。

>ヴァンパイア役

なるほど!(*^_^*)
繊細な美をまといながら標的を定めたら何が何でも逃さない。透明感のあるお肌に鮮やかな赤が映えそうです。 やっぱり、、、こ、こわい。(^_^;)

Posted by ぺろんぱ at 2013年10月03日 20:40

 “あまロス”仲間のだめたけさん、こんばんは。
この『あまちゃん』に限っては、男性の声で「終わってしまって残念」というのがよく聞かれることが驚きです。今までの朝ドラとはやっぱり違ってたんだなぁって思います。
お嬢さんがいらっしゃるのですよね・・・タネイチ先輩みたいなイケメン男子の存在は!?(*^_^*) オト−サンとしてはそういうの、複雑なのでしょうね。(^^)

JR神戸線は本当に遅れが日常茶飯事です。尼崎のあの事件が強く影響しているのでしょうけれど。
帰りの新快速が突然「行き先が変更になりました」っていうのもあります。(なんだとーっ!!、ですよ。)
でも先日は姫新線での事故が神戸線のダイヤにも影響してましたよ。やっぱり線路は続くよ何処までも〜♪です。

映画は、観たいと思うものが神戸とか大阪の映画館しかかかっていなくて・・涙。それでも去年からは本当に鑑賞数が減ってしまっている現状なのに、温かい目で読んでいただいてて嬉しいです。

>広い世界への窓口のようです

勿体無いお言葉。涙。
悪(アル中人生)への窓口にならないよう、注意しますのでヨロシクです。


Posted by ぺろんぱ at 2013年10月03日 21:04
先日はあたたかなお言葉を頂戴して、ありがとうございました。

少しずつ落ち着いて来ましたのでやっと伺えましたら、
ルコント、ジュード・ロウ、と何とも魅力的なラインナップで更新されていらっしゃいますね♪
今作品、ジュードとソダーバーグ監督だなんてますます嬉しい顔合わせですこと!
一ひねりも二ひねりも有りそうでワクワクします。
が、拝読したい気持ちをグッと抑えて、
鑑賞まではぺろんぱさんのレビューはお預けにさせていただくことにしますね。
秋の夜長、早くゆっくりと映画鑑賞できる日が待ち遠しい限りです。
Posted by あぶく at 2013年10月16日 14:35

あぶくさん、お越し下さりありがとうございます。
先ずは、落ち着きを取り戻されつつあるとのこと、何よりです。

ルコント監督の新作がアニメとはびっくりでした。
本作も監督の御名はそそられるものがございますよね、ジョードの魅力も勿論ながら(*^_^*)。

はい、今回はきっちり結末に触れる記述をしておりますので^_^;ご鑑賞後にまたお越し下さると嬉しいです。

ところで…今秋からスタートの某曜日10時からの連ドラ情報を見つけた時、真っ先にあぶくさんのことが頭に浮かびました。ご覧になっていらっしゃるのでしょうか〜(*^_^*)。

Posted by ぺろんぱ at 2013年10月17日 12:20
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/77074257
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

サイド・エフェクト
Excerpt: 原題 SIDE EFFECTS 上映時間 106分 映倫 R15+ 脚本 スコット・Z・バーンズ 監督 スティーヴン・ソダーバーグ 音楽 トーマス・ニューマン 出演 ジュード・ロウ/ルーニー・..
Weblog: to Heart
Tracked: 2013-10-02 19:42