今日の映画はシネカノン神戸での塙幸成監督『初恋』でした。
初めてカノンでチラシを見てからずっと公開を楽しみにしていました。
これは、日本犯罪史上最大のミステリーと言われる「府中三億円強奪事件」

1968年、時代が熱くうねっていたあの頃、東京の
府中で現金輸送車が襲われ三億円が強奪された。
人ひとり傷つけずに、わずか数分で・・・(映画コピー)
この事件が起こったのは私がまだ幼い子供にすぎない頃で、発生をリアルタイムの放送で知ったか否かは記憶の彼方で不確かなものの、捜査の進行と共に成長し、決して忘れる事はないであろう衝撃的な事件となって私の中に残っています。
あっという間の強奪劇、負傷者なし、モンタージュ(実際には、後に目撃証言から作成されたものでは全くなかった事が判明)は広く流布したものの容疑者は遂に特定されず、1975年に時効を迎えて現在に至りながら奪われた紙幣は一枚たりとも使用されていない・・・という謎。
まず映画を観て、これだけの大事件が余りに淡々と描かれていることに驚きました。まるで、ストーリーの過程での一つのエピソードに過ぎない、というくらいに。
それだけ、この事件は主人公みすず(宮崎あおい)にとって恋心を抱くキシ(小出恵介)と“何かを共有したい”が為の一手段に過ぎなかったのだ、ということなのでしょうね。
かたやキシの方は“権力”というものへの反感と嫌悪(彼は時の権力者の息子であったという設定ですが)によってこの事件を企てるのですが、それとてもギラギラしたものや生々しい感情のうねりなんかも無く、どこか無機質な感じで進められていくのです。
途中「そんなんでいいの〜?この事件!?」と思ったりしたものですが、事を成し終えたみすずがキシに「よくやったね」とふわりと頭を撫でられるシーン、「あぁ、この一瞬の“つながり”が欲しくてみすずは実行犯となったんだなぁ・・・」と思うと堪らなく切なくなってしまいました。
私の中ではこのシーンが本作のハイライトシーンでした。
反逆者の陶酔感に浸るキシもやがては権力という闇の大きな力によっていとも簡単に彼が描いた世界から葬り去られていきます。「誰か」がひねりつぶされるという“見せしめ”付きで。彼の憎んだ「権力」は、とても太刀打ちできる相手ではなかった、のですね。
う〜ん・・・・
ただ、映画のキャッチコピーである「こころの傷に時効は無いのだから」については、私のなかではしっくりこなかったです。なんだか言葉の空回り的、な感じで。
果たしてみすずは一連の出来事で心に傷を負ったんだろうか。この出来事に関してだけは彼女はむしろ救われたように思えたので。
監督のメッセージが本当のところはどうなのか、(私には)不明瞭なまま終わってしまった事が心残りです。
時効を迎えた瞬間、私は多くの警察関係者がそれこそ足を棒にし汗と涙にまみれて捜査をし続けた様子がNHKでドキュメンタリーとなって流されていたのを見ていましたので、この事件の犯人をヒーロー視するつもりは全くありませんが、この事件が昭和の人々に与えた衝撃と、「三億もの大金の強奪」とは真逆にある「初恋」という瑞々しい感情をシンクロさせたと言う点においては興味深く観る事の出来た作品ではありました。
それから、エンディングで流れる元ちとせの歌『青のレクイエム』
(*^_^*)蛇足ですが、宮崎あおいちゃん、いいですねぇ。
どこか郷愁を誘う笑顔、声、細くて長い四肢・・・全ていいですねぇ。
本作にはあおいちゃんの実兄である宮崎将がみすずの兄・リュウ役で出演しています。
顔はとても似ています。実の兄妹なんだから当たり前ですが・・・。
この映画にはJAZZ BAR「B」が頻繁に登場します。
そこがリュウやキシの溜り場だったんです。
地下に降りていく、薄暗い、煙草の煙と秘密めいた語り事の息苦しさが充満した“いかにも”的なJAZZ BAR です。
最近知人の勧めで購入した書籍『TO THE BAR』
行った事のないBARにも足を踏み入れたような感覚で楽しませてくれる興味深い一冊ですよ。

劇中で、仲間達がある心躍る夜に「ビール!じゃなくて角だ!角!!」と叫ぶシーンがあります。角ってあのサントリー社の角瓶ですよね。
当時はこれが流行りだったのでしょうか。今はBARではみかける事の少ないウィスキーですが、角って“割り上がり(こんな言葉があるか否か分かりませんが)”するというか、濃い目の水割りにすると結構イケルのです。
一人でBARカウンターの端に座って「角、ジガー割りで。」なんていうオーダーをしている御仁は“ホンマモノ”って感じが漂ってきそうではありませんか?
やっぱり宮崎あおいはすごいですね!
かなり見たいっす(>.<)
>実兄である宮崎将
ユリイカっていう作品でも共演してます。
すごいな、兄妹で共演。
>元ちとせの歌『青のレクイエム』
俺はあの歌だけで、結構感動しました(◎-◎)
>JAZZ BAR
かなり行ってみたいです!生演奏とかも♪
映画は、“時代の熱きうねり”をもっと“熱い”ものに感じさせて欲しかったな、という感は残りました。
村下孝蔵、すみません、ちょっと古かったですか??^^;
>ホント最後のあの歌で映画がランクアップしたようでした。
まじっすか!?
あの唄ほんといい歌ですもんね〜。
>、“時代の熱きうねり”をもっと“熱い”ものに感じさせて欲しかったな、という感は残りました。
なるほど。はやくみたいなぁ。。。
>ちょっと古かったですか??^^;
いや、そんなことはないですよ!
いい歌は色褪せないですしw
やっと見てこれましたw
宮崎あおい、スゴいっすね┌|∵|┘
これ、劇場公開時観に行きましたが、(自分の場合60年代後半のJAZZ喫茶の描かれ方が一番興味ありで・・)この間たまたまパンフを目にする機会があり、つい用事そっちのけでパラパラしたところ、な、な、なんとっ!!
今年3月まではまりまくってた”ちりとてちん”の青木崇高が出ていたと発見!(ぺろんぱさん、とっくに気付いてたとしたらかんにん)
今となっては、その演技状況が全く思い出せないのですが・・・。(トホホ)
ちなみに、役名はテツでした。(どないやねんっ!)
>青木崇高が出ていたと発見!
そうなのですか!知りませんでした!!
「ちりとて」の後で鑑賞の運びとなった『椿山課長の七日間』や『海猿』に出演されているのは気付いたのですが・・・。
そうですか・・・
『初恋』に・・・・・・
テツさん役で・・・・・・・・。
(遠いところを見る)
あかん、やっぱり思い出せません・・・しゅん太郎。
いつか再見する時があればそこに神経を集中させて観ます。
思い起こせば「ちりとて」で彼を見た時「えぇ!長瀬くん(トキオ)、顔太った???」という程度の認識で始まりました。段々とメジャーな路線に乗っていかれている青木宗高さん、嬉しいです。(*^_^*)
小出恵介はんがメインキャストやったんですね。。
ススス、スネークぅぅ!(違うってば)
そうですよ〜、小出君、主要キャラでした。
こちらはきっちりシリアス路線で。
スネークと言えば・・・
「何を根拠に!」
「第一印象だぁ!!」
のやり取りが、思い出しても一人笑いしてしまいますぅ。(*^_^*)