今日(土)はテアトル梅田に根岸吉太郎監督の『雪に願うこと』(原作は鳴海章『輓馬(ばんば)』文藝春秋)を観に行きました。
初公開の5/27から少し時が経過してしまいましたが、観て良かったです、この映画。
東京国際映画祭でグランプリ含む四冠を取ったとの事でしたが“看板に偽り無し”だったと思います。


東京で事業を成功させながらも経営していた会社を
倒産させてしまった矢崎学。一流の生活も家庭も
信頼も全て失った学(まなぶ)の足は故郷の北海道・
帯広に向いていた。
ばんえい競馬の厩舎を営む兄・威夫(たけお)のもとで、
厩舎の仲間や、成績が振るわず処分される運命にある
馬「ウンリュウ」ともに暮らし始める。
やがてウンリュウは、その輓馬生命を賭け、
最後になるかもしれないレースに出る事が
決まったが・・・・。(映画コピーより)
兄・威夫を演じる佐藤浩市、弟・学を演じる伊勢谷友介をはじめ、晴子役の小泉今日子、厩舎の仲間役・でんでん、山本浩次など、演じる役者さんたちがみんないい!です!(そうそう、ぺろんぱ注目の香川照之さんも出ていました。)
それから、馬!!馬たちに最高演技賞でもあげたいです、本当に良く頑張った!
北海道の大自然は、厳寒の余りの過酷さに、ともすれば絶望の淵に立たされることもあるかもしれないけれど、反面、その厳しさこそが精神の贅肉を削ぎ落とし心の曇りを取り払ってくれるのではないかとも思います。
厩舎での昼夜を問わない労働も、肉体労働が労働の原点だと言わんばかりに、都会でヨレヨレになって自分を見失った学は、厩舎での労働を重ねるうちに今までの自分としっかり向き合うようになっていきます。
大自然や労働がもたらすものだけではありません。
人との関わり(厩舎で働く人々が皆温かい)。
肉親との関わり(痴呆症の母との再会、深く長い確執がありながら弟を見守る兄)。
馬との関わり(学にとって“運命の出会い”と言えるウンリュウとの出会い)。
都会で多くのものを踏みつけて見捨ててきた学も、ウンリュウとの出会いは捨てなかった・・・・のですね。
「馬を見てるとやわになんねえか(平和にならないか?)・・・馬はいいべ・・・。」
この威夫の台詞が学の心に染み通っていくのが分かりました。
自分の運命を賭けるが如くウンリュウを必死に調教し続ける学。
凍てつく空気の中で白く凍る馬の吐く息が、大地を蹴る砂埃と共に、北の大地の黎明の空に美しく且つ力強く舞い上がります。
夜中から日の出を迎えるまで其々に表情を変える北海道の空と、馬や人々の吐く白い息・・・あの映像は必見だと思います。
最後に学は、自分のこれまでの来し方にきっちりケジメを付けようとします。
その一歩を踏み出す学の表情がすごくいいです!
彼は確かに東京で沢山の人を傷つけた。
沢山のモノや人のココロを葬りもした・・・その咎は大きい。
だけど、もう一度“自分自身”を取り戻すことが出来た・・・・・・良かったと思いたいです。
佐藤浩市さん、画面が締まりますねぇ。
一昨年のNHK大河『新選組!』の芹沢鴨も、存在感ありましたぇ・・・。
仕事を終えた深夜の厩舎で、彼は大ぶりの湯飲茶碗で焼酎のお湯割をすすります。
厩舎の仲間と一緒に取る夕餉の食卓では、日本酒の松竹梅を一升瓶からコップ酒でガンガンいってます。
男・浩市!(役名は威夫なんですけどね^^;)
私もみんなの傍で一緒に飲みたくなりました。
男・浩市!に敬意を表しつつも対抗して?ここでは“やわ〜”なケーキをご紹介します。
しかしケーキといっても、地酒・緑川を使った「地酒ケーキ・緑川」(新潟県・芳林堂)です。
女・ぺろんぱ!(なんやそれ・・・)
これは地元の酒蔵「緑川酒造」とのタイアップ商品です。

純米吟醸「緑」と卵の卵白のみを使用したスポンジケーキ。
お酒の香りがどことなくふんわりと・・・と思ったら、意外や意外、衝撃、
これは“日本酒そのもの”と言ってもいいかも。
ぎゅっと絞ったらジュッと日本酒が出てきそうなほどの“しっとり感”ならぬ“じっとり感”です。麹の香りも(嫌味なく)漂います。
バター風味の日本酒、ですか・・・?
でもこれは勿論誉め言葉です、日本酒好きの方はきっとお気に召すと思います。
ウンリュウ、それからあの厩舎で働く人たち、晴子さん、そして、学の今後にどうか幸あれ。
かなりよかったです〜☆
>佐藤浩市さん、画面が締まりますねぇ。
同感です。無言の存在感が凄いですね。
>その一歩を踏み出す学の表情がすごくいいです!
素晴らしい監督ですね。
最高のシーンです!
日本の映画もどんどん良い作品が出てきますよね・・・俳優さんも。伊勢谷君は最初、「ガクトみたいな喋り方する長井秀和」としか思ってなかったんですが、なかなかいい俳優さんですよね。(*^_^*)