連休初日の22日に梅田ガーデンシネマにて『アフター・ウェディング』(スサンネ・ビア監督)を鑑賞。
冷たい雨が横殴りに降りつける中、飛びそうになる傘をしっかり携えて梅田スカイビルへ。会場に着いて温かい飲み物を手にした時はホッとしました。
そんな中でのこの映画、期待が余りに大きすぎたせいか消化不良の思い・・・何となく違和感を抱いたまま劇場を後にすることになってしまいました。
北欧の風景は美しく、演じる俳優さん達はみな素晴らしいと感じられ(特にヨルゲン役のロルフ・ラッスゴル!)、激しい感情のうねりを真正面から描いた監督の手腕は(おそらくは)見事と評されるであろう作品だけに、ストーリーそのものに心酔できなかったことが何だかとても残念です。

story
2007年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたデンマーク映画。コペンハーゲンを舞台に、孤児たちの援助活動に従事する中年男性ヤコブと彼の元恋人の家族をめぐる愛のドラマが展開する。
インドで孤児たちの援助活動に従事するデンマーク人ヤコブ(マッツ・ミケルセン)は、巨額の寄付金を申し出てきた実業家ヨルゲン(ロルフ・ラッスゴル)の要請により彼に会うため故郷デンマークへ向かう。そして偶然にも、ヨルゲンの妻ヘレナ(サイズ・バベット・クヌッセン)が自分のかつての恋人であるということが判明する。(シネマトゥデイより)
ストーリーと言いますか、根本的に登場人物全てに感情移入できなかったことが残念でした。
あ・・・インドで健気に生きる少年プラモドは別です。彼の微笑が唯一の救いだったくらい。
何故今になって敢えて全てを白日の下に晒さねばならないのでしょうか・・・。ヨルゲン。余命いくばくもない人間が、残していく家族を大切に思う気持ちは分かりますが、もっと違う形での思い方があるのではないかと思えてなりませんでした。
彼は劇中でいみじくも妻にこう言っていました。「全てを支配できるわけじゃない」と。
あれは自分自身に言い聞かせていた言葉なのでしょうけれど、その言葉をもう一度彼に返したいですね。“大いなる家族愛”の名のもとに周囲の人間の人生を支配しようとしたのは他ならぬ貴方でしょう、と。

ヤコブ。それほどまでに血の絆は深いのでしょうか。
存在すら知らなかった娘をある日突然に目の前に突きつけられ、「きっと帰る」と約束したプラモドを結果的に裏切るほどに愛せるものなのでしょうか。
結果的に基金を成立させて多くの迷える子ども達を救うことができたと言っても、一人の少年の心に諦念を生み付けてしまったことは事実です。かつて恋人を見限ったことを悔いているなら、同じようにプラモドの思いに報いれなかったことをいつかきっと悔いるはず・・・。
妻ヘレナと娘アナ。夫、父、としてヨルゲンを愛しているなら、もっとヤコブとの距離は図れるのではないでしょうか。
沢山の慟哭が描かれていたけれど、私には、プラモドに「帰る」と約束したことが(苦渋の決断だったにせよ)結果的には守られなかったことが何にも増して悲しかったです。それに尽きたわけです。
北欧の美しい風景と、これ以上ない裕福な家庭のこれ以上ない満ち足りた生活の中で、一つの失われゆくものを巡って右往左往する人々と、失うものさえない、愛にも物資にも飢えた子ども達の、その対比だけが痛切に残ってしまった映画。
しっくり来なかったのは、冷たい雨を降らせる暗い空のせいだったのかな・・・雨が上って晴れ間の見えた今日の午後、昨日の映画を思い出して考えていました。

昨日は映画の後神戸に戻って、年末のご挨拶を兼ねて時折立ち寄るお店で焼酎三昧。
今夜は自宅で静かに黒糖焼酎<れんと>のロックを・・・このレヴューを綴りながら。
確かに、ヨルゲンの行動は自分勝手な理論に基づいたもので
観ているこちら側を説得させる力はなかったですね。
そこらへんに割り切れない気持ちを抱きながらも、
結局は自己満足の為に動いてしまったり、何かにすがったり、
そんな人間の弱さや愛し愛されたい気持ちが伝わってきて、涙してしまいました。
悲惨なスラム街の中でも必死に生きぬこうとしている子供の姿と、
物質的に恵まれていても精神的なもろさを露呈している西洋社会の大人達。
理想とはうらはらに子供との約束を破ってしまうヤコブ。
この作品はほろ苦い想いを観ている側に抱かせますね。
「れんと」この黒糖焼酎はメジャーですよね! うちにもあります。
私みたいな初心者でも飲み易い口あたりで、たまにロックで楽しんでます。(= ̄∇ ̄=)
と強く考えてる1本でありますん(・ω・)
ってことで、ネタバレやめて〜(←うるさいよ)
というものの、諸般の事情で劇場に足を運べるのは年に数回というトホホな状況で、今年も6回しか行けんかったなぁと思いつつ、ちょっとしたはずみで7回目に行けた映画が”ONCEダブリンの街角で”。なかなかぼちぼちよかったですわぁ。ギネス好きは行かな、ていうか、ダブリンに反応する体質なもんで・・・。
特筆したいのは、1991年アラン・パーカー監督”ザ・コミットメンツ”(めちゃ好きな映画!)で脇役してたグレン・ハンサードが主役やったということです。何の予備知識もないまま観たんですが”似てるけどおっさんくさいしなぁ”とか思ってたんです。けど、16年もたったんやもんなぁ。自分のこと考えると・・・。(すまん)
いえ、そうは言ってた私も今日チラシを再度眺めていたら、結婚式で踊るアナたちを満面の笑みで見つめるヨルゲンとヘレナが居て・・・それ見てグッときちゃいました。弱さや脆さもひっくるめての人間なのですね・・・。
れんとのロックも同じ日の同じ頃に飲んでたりして・・・ダブルニアミス(*^_^*)。
またネタバレでごめんなさい、です。(^_^;)
TiM3さんが「強く」お考えになってる作品ならレヴューも楽しみです。ウルトラセブンXも終了したことですし是非!(^_^)
『ある愛の風景』は私も気になっています。28日〜梅ガデで公開ですよね。これは聞けばハリウッドでリメイクが決定しているとか・・・尚更オリジナルを観ておきたい、とも。
『ONCE・・・』は観ていませんが『ザ・コミトメンツ』はビイルネンさんの大好きな作品とのことで是非<今後のお題>に加えたい思いです。こちらこそ情報おおきに!です!