今週末の一本はこれです。
『玲玲(リンリン)の電影日記』(シャオ・チアン監督)
於:梅田OS名画座

北京で働く映画好きの青年ダービン(シア・ユイ)は、ある日自転車でレンガとぶつかる事故を起こしてしまう。
起き上がった彼は、突然何かに逆上した少女にレンガで殴られるが、警察に捉えられた少女が実はタービンの幼馴染の玲玲で
あったことを知るが・・・。
「中国版ニュー・シネマ・パラダイス」との触れ込みでしたが、どちらが優劣、と言う事ではなく、全く別のものであると感じました。
女性らしい演出で、確かに映画への郷愁とオマージュが随所に散りばめられている作品だとは思いました。
ニュー・シネマ・・・・がある意味「映画が主人公」だったような印象を残している事に比して、こちらはやはり家族の激動(破滅と再生)が主であり、その家族達が愛したものが映画だった、というような・・・・。
家族が破滅したのも長年を経て再生の兆しを見せるのも、そこに“映画の介在”があった、という描かれ方でしたが、私としてはこの家族が再生した、あるいは再生するであろうとは思えないので、ラストの「お互いが幸せの笑みを交し合う」的なシーンには違和感を拭えませんでした。
それが、観終わった後で「映画っていいものだけど、そこまでの力が有るのか?」という何だか自分にとって痛い感想すら持ってしまう結果になりました。
私としては、もう少し、成長してからの少女の心の葛藤のみたいなものを分かち合いたかったです。想い出だけを育んで、果たしてそれだけで美しいフィナーレを迎えることが出来るのでしょうか・・・。(そう思うのは私の心がイタイから?なのでしょうか)。
母親も再婚した父親も玲玲を愛したけれど、ほんの瞬間、“足元”を見る事を忘れ、玲玲を見失ってしまったのですね。
母親の愛が再婚して生まれた弟に取られてしまったと思い込む玲玲も不憫ですが、哀しいのは異父姉弟でありながらただひたすら姉を信じ慕う弟・兵兵(ビンヒン)が、玲玲の不注意によって転落死してしまう事実。
そして更に、ビンビンの死で発作的に玲玲を殴り永遠に聴覚を失わせてしまった義父の罪。
家を出て、聴覚の無いまま独り生きてきた玲玲・・・そこには(映画には描かれていないけれど)筆舌に尽くしがたい艱難辛苦があったはず。
これほどまでに傷を負った家族・・・・だから、其々に背負ったものは、私はそう簡単に流し去るには大き過ぎると思います。
壊れてしまったら、もう元には戻せないものは有るのです。
この家族も、例え許しあえたとしても、心の底から笑い合うことのできる昔の家族には、決して戻れないのじゃないかと思います。
この映画は、映画のよさとか、思い出の美しさとか、誰かを一心に慕う事の素晴らしさとかを、私に伝えてくれました。
でも、「取り戻せないものもある」という思いが、最後の最後に“滓のように”深く重く私の心に沈殿してしまいました。
ストーリーは別にして、幼少期のダービンを演じた子役の子も、青年期のダービンを演じたシア・ユイも、よかったですね。
彼等の屈託ない笑顔に癒されました。幼少期の子役の子はちょっと「レレレのおじさん」に似ているけれど。(^^)
映画の帰り、大丸梅田店で「ドイツフェア」なるものに遭遇。
ジーコジャパンは敗退しましたが、W杯はまだ盛り上がっていますものね。えっ?盛り上がってない?ですか?
惹かれて購入したのはBeer「エク・28」。

商品コピーによれば「濃厚な麦汁と醸造香がモロミのよう。独特な味わいでアルコール度数11%と高めのダークビール。EKUとは、E(最初の)KU(Kulmbacher醸造所)で、“最初にできた醸造所”の意味」とのことです。
私もアルコール度数10度というビールは飲んだ事がありますが、11度といのは初めてでした。
「モロミ」を思わせる香りは日本酒好きにも堪らなそうなビールです。
濃い含み香と、ほろ苦甘い?後口。
魅惑の琥珀色も美しく、そして、美味しいです!! 330ml¥441(税込)でした。

土曜は所用で帰郷。
郷里の長閑な駅舎の風景を御覧下さい。

2,3秒→40分
思わずホームで暴れようかと思いました。
(私にはスローライフは無理ですか??)
↑暴れようと思っただけで、実際には暴れておりませんのでご安心下さい。
玲玲はまだまだ若い。
これから違う人生を・・・(できる事なら)ダービンと・・・。
でご覧ください。