今日8日(土)は、今日公開の『ロース・イン・タイドランド』(テリー・ギリアム監督)をシネカノン神戸で。
昨年の『ブラザーズ・グリム』に次ぐ新作で、好きな監督の一人でもある同監督のこの新作を楽しみにしていました。
“鬼才”といわれるこの監督はちょっとあっちの世界に“いっちゃってる”感があって、彼の作品も、ロマンと狂気とブラックユーモアとサイエンスフィクションと、そんなのがごちゃ混ぜになったおもちゃ箱をひっくり返したような作品です。
『バロン』『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』とか・・・面白かったですね。
昨年の「ブラザーズ・・・」は“狂気”の部分が押さえられていたように思いましたが、今作は完全に針が“振り切って”いたように感じました。

主人公はとんでもなく悲惨な状況にいるジェライザ・ローズという名の女の子(ジョデル・フェルランド)。
ある日、ママが急死して、大好きなパパ(ジェフ・ブリッジス)と二人、今は亡きおばあちゃんの家に住む事になる。しかし彼女を待っていたのは、見渡す限り金色の草原にポツンと建っている一軒の荒れ果てた古い家。しかも着いてすぐにパパはドラッグによる“ロング・バケーション(死)”に出てしまい、見知らぬ土地で一人ぼっちになってしまう。
友達は一緒に旅して来た四体のバービー人形の頭だけ。
ところが、しゃべる灰色リスとの出会いをきっかけにローズは・・・・。
タイドランド:干潟、境界線という意味。本作では主人公の
幻想と現実との境界線となる場所を指す。
(STORY共、映画チラシより)
R−15指定なのである程度予想はしていましたが、ここまでやっていいのぉ・・・?というほど、ドラッグ・ある種の性癖・死体処理・先天的脳疾患など、世間的にタブー視されてることがバンバン描かれています。子供を主人公にした映画で、ですよ!
監督曰く「『不思議の国のアリス』と『サイコ』を合体させた作品だ!」ということですが(それはよう分からんが・・・)、「どうだ!これが俺様の映画だ!」と豪快に笑っている監督の顔が浮かぶようです。
完全に針が振り切った・・・と書きましたが、正直言って私は途中で(多分)振り落とされてしまったと思います。
「ギリアム教団」の修行にはついていけなかったみたいです。
けれど映像はやはり凄く面白かったです。
「オモ怖」の世界から「怖怖(コワコワ)」の世界へ、不気味且つシュールな世界へ誘われましたよ。
頭だけのバービー人形・ミスティーク、サテンリップス、ベイビーブロンド、グリッターの四体が、登場する二体のミイラ化した死体よりもある意味“怖い”です。
主演のジョデルは、若干10歳にして蠱惑敵な表情の出来る、子役というよりもう立派な女優さんです。
彼女の目力が、ラストシーンで「子供って逞しくて恐い」って心底そう思わせてくれました。
監督自身、「子供の力強い生命力こそ、最も恐れ、同時に敬愛する想像力の源だ。」と言っていますが、監督のその恐怖と畏敬の念が作品から強く伝わってくるようです。
昨日読み終えたばかりの田口ランディさんの小説『幸せのハーモニー』の中に、奇しくも「子供というのは大人にとって悲惨極まりない出来事の、そのマイナスのエネルギーをプラスに変換できる驚異の生物だ」という記述があった事を、今、なるほどなと思い出しています。
ん〜〜〜・・・恐くて、そしてすごく“あぶない”映画でした。
次回作に、果たして私はついていけるでしょうか・・・・・ついて行きたいけれど。
さて、帰りには、折角神戸駅に来たので情報誌に掲載されていた面白そうなお店「升吉」(JR神戸駅北西へ徒歩5分)へ足を向けました。
小箱でもなく大箱でもなくほど良い大きさのとてもカジュアルなお店で、メニューも多く、スタッフの男の子も礼儀正しく且つ元気でした。


最初は長龍の限定原酒「夏しぼり」をロックで、鶏の「ひねポン」と共に。
二杯目は月の桂のにごり微炭酸を。
微炭酸をこんな風にシャンパングラスに注いでくださるって素敵ですね。ひねポンも、噛むほどに鶏の甘味が広がって大変美味しゅうございました。
帰りには店長らしき男性が出口まで「ありがとうございました」と見送って下さり、また訪れたいと思う一軒になりました。
このお店、開店一周年とか・・・・。
升吉さん、一周年を迎えて頑張って下さい!
そしてギリアム監督、着いて行かれる程度にホドホドに頑張って!!!! の夜でした。(*^_^*)
ところで、めがねやに刈穂と獺祭(だっさい)入荷しました。と言うか運んだのは私です。
原酒は大18、19-20度くらいです。普段はそのまま飲むのですがこの日は気分でロックにしました。長龍とあって、少し甘い後口でしたが。
獺祭は好きなお酒です。近いうちに覗いてみます。